かつて山の斜面一面に広がっていたみかん畑は、今では他の山と同じスギとヒノキの林になっています。10年以上かけ徐々に植林していき、最後に残った「金峰」という青島系の温州みかんが植えられていた場所も数年前に林となりました。その中に一本のレモンが植えられています。30年ほど前から、我が家で使うには充分な量の実をならせ続けてきました。昨年はビク一杯ほど、今年もそれくらいはあるだろうと、ビクひとつに予備のビニール袋1枚を持ち、カマで草を払いながら山を登ります。一年ぶりに見るレモンは思いの他元気で、昨年の5倍はあろうかという数の実をつけています。ビクとビニール袋をいっぱいにし、採りきれない分はまた今度、雨の中汗をかきながら山を下りました。
植林後すぐに伐ってしまった場所もあれば、金峰やレモンのように伐らずに廃園にしてしまった場所もあります。すでに周りのヒノキが大きくなり、近い将来枯れる運命にある金峰とレモンが今年は豊作です。他所の廃園も豊作のようです。誰も嫌いでやめたわけではない畑になるみかんが哀しい年の瀬、冷たい雨の夜になりました。(代表)