ここら辺では早生みかんの収穫もほぼ終わり、中生(なかて)みかんがある家はその収穫をしています。晩生(おくて)みかんに分類される青島温州もかなり色づき、12月に入れば収穫が始まることでしょう。かつては今の時期どちらを向いても鈴なりのみかんが目に飛び込んできましたが、今や我が家の周りには一本のみかんの木も見当たりません。1970年代初頭石油ショックを契機にみかんの市場価格暴落。景気回復とは関係なしに、みかんの市場価格が回復することはありませんでした。当然のこと農家はみかんの木を伐り倒し、あるものは別の作物を植え、あるものは職業を変えました。
今年はみかんの市場価格が例年にない高値で推移しています。収穫量が少ないと言われていますが、高値の原因はどうやらそれだけではなさそうです。実は生産している私にもよくわかりません。高く売れるのはありがたいのですが、よい物も二等品も同じように高値で売れていくのは少々不気味です。評価の基準はどこにあるのでしょう。価格低迷の30数年間、そして今年、品質に見合った評価がされていません。私を含め生産者はよいものを作る努力をしています。高品質なものは高く、まあまあのものはそれなりに、生産者と消費者の双方が納得のいく値段に落ち着くのが理想だと思います。(代表)