卒業式の日録

早朝はハウスの水遣り、ハウス周りの植木の移動、そして午後からは春のお茶の肥料散布がありました。農作業の話はいろいろと書きたいことがありますが、今日のブログに書く内容と写真は農作業のことではなく、私の中ですでに3年前に決めていたことを書こうと思います。

毎年3月1日は娘が通う高校の卒業式の日です。
今から3年前の3月に高校の合否発表がありました。
合否発表を見るために、行き慣れない土地まで娘と二人、車で出かけましたが、
近辺には駐車場が見当たらず、迷っていたぐるぐると回っていたところ、
学校からさほど遠くない県道沿いに一軒の小さな花屋さんを見つけました。
パセリやパンジーなど、いくつかの鉢を見繕ってカゴに入れて店の中に入っていくと、
花屋の屋内では60を過ぎた格好のご主人が徐に寄せ植え用の土の配合をしていました。
苗をレジに置きながら、
「今から高校の合格発表があるんです。
見に行く間、ここに車を置かせてもらえませんか。」
と、頼んでみると、最初は少し迷惑そうでしたが、
10分ほどで戻ってくると話して車を置かせてもらいました。

高校の門をくぐり、発表者の番号を確認すると、結果は、合格・・・。
娘と二人でそこの花屋に戻ると、さきほどまでは無愛想な顔をしていた主人ですが、
今度は急に顔がほころんで
「受かったんだね。顔を見てわかったよ。」と喜んでくれました。

最初迷惑そうに見えたのは、毎年ここに車を置く受験生の親子がいて、
受験の結果を心配していたからかもしれません。

そして、その時、心に決めたのです。
3年後、無事に娘が卒業を迎えることができたら・・・。
卒業の日には、やはりここに車を置いて、祝いの花を買い、お礼の言葉を伝えに来よう・・。

私たちの3年間の中には、農園カフェ開園もあり、下の子供の受験もあり、
日々の農作業、お茶の大被害、そして、
忘れてはならない、去年の3月11日の未曾有の大惨事があり・・・。
今日の卒業式は、多くの方々の支えと共に、数多くの犠牲の延長上にあると思うと、
言葉では言い尽くせない感情がこみ上げてきます。

娘達がこれから迎える時代は、生きて行く上で今以上に厳しくなるかもしれませんが、
周囲の人々への感謝を忘れず、困難に打ち勝つ強い精神と、
体力と、知恵をもって立ち向かってもらいたいと願っています。

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高校の近所の花屋の店内

どの花も、精一杯咲いていました。

(AYA)
by mgarden2 | 2012-03-01 21:07 | 農家の暮らし | Comments(0)
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